446の素人格ゲーブログ

ゲーセンでゲームをするのが大好きなオッサンの日常ゲームブログ!毎週金・土・日更新!!

【第二十九話】ザ・ファーストゲーム(ハクビシン編)

はい。ということで、今日から三日間は、よく僕のブログに名前が出てくる三人の格ゲー仲間の格ゲーをやるキッカケとなった話を小説風に書いていきたいと思います。

本人の話を元に書きますが、多少演出を入れるので、派手な表現をすることがあるかもしれません。

その時、「んなことはないやろ!」と思わずに、まぁお話はお話と割り切って読んで頂けると幸いです(笑)

それでは、こっからスタート↓

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

よく格闘ゲームの思い出を話すおじさんは、僕にこう言う。

「角の駄菓子屋にネオジオ筐体があってさ、そこでよく友達と100円握り締めていって、全クリ目指してたよ」

そのおじさん達は、大抵が僕より10個ぐらい年齢が上だ。

だけど、僕はそれより少し後の世代になるので、駄菓子屋に格ゲーの筐体があるという印象は薄かった。

今でも鮮明に覚えているのは、親に連れられて行っていたスーパーマーケットの一角がゲームコーナーになっていて、そこに三・四台のゲーム筐体が横一列に並んでいた。僕は、その中の『XーメンVSストリートファイター』という格闘ゲームを夢中でプレイしていたということだ。

「へぇ、じゃあそれがハクビシンくんが格ゲーをやり始めたキッカケなんだ。じゃあ、俺とおんなじだ!俺もXーメンVSストリートファイターの演出が格好いいーと思ってプレイしたらドハマりしてね、今に至るってわけ」

「…そうですか」

僕の思い出にわざとらしく話を合わせた目の前の小太りの眼鏡の男は、先日職場に入社してきた446というオッサンだった。年の頃は、25から6か。前は造船所で働いていたとかで、やたらとその知識と技術を自慢してくる。正直、鬱陶しい。

446は年が近いので、格ゲーの話をしても駄菓子屋の話はしてこないが、それを理由に異常なまでに絡んでくる。しかも、格ゲーが好きということで、職場の主任や課長にも取り入って、格ゲーの話をするので、四六時中ゲームの話ばかりだ。

(コイツ、1回分からせた方がいいかな)

自慢じゃないが、僕は格ゲーは上手(うま)い方だ。

友達同士の対戦では負けたことがなかったし、小さなゲームセンターの大会ではあったが、そこで優勝経験も何度かある。

まぁ、それは学生時代の話だが、3・4年のブランクがあるからとはいえ、素人に負ける気はしなかった。

「446さん、そんなに格ゲー好きなら今度対戦しましょうよ。」

「マジで!?いいねぇ~」

(すぐに分からせてやるよ。てめぇみたいにヘラヘラ笑ってやってるキモブタは、地面を舐めてる方がお似合いだ)

「じゃあ、タイトルは何にしましょうか?」

そう言う僕に、446は迷うことなくストリートファイターゼロ3と答えた。

何でも今ハマっているそうだが、おあいにく様、こっちもゼロ3は得意分野だ。

ストリートファイターゼロ3は、1998年にアーケードで稼働し、その後家庭用ハードにも普及した、ストリートファイターゼロシリーズの名作だ。

劇場版ストリートファイター2をゲーム内で再現しており、スト2より寧ろこちらを本家と呼ぶ声も高い。

ゲームシステム的には、着地キャンセルというバグが発見されて以降、上級者と初心者の格差がつき、評価が分かれる作品ではあるが、比較的良作との声が高い。

数日後。僕は446を行き着けのゲーセンに呼び出し、早速ゼロ3の対戦をしようと持ち掛けた。

僕はXナッシュ。446はZリュウだ。

ゼロ3は、X、Z、Vの三つのタイプのパワーゲージを任意で選択できる。

Xは発動できるスーパーコンボが1つしかない代わりに、それをヒットさせれば大きなダメージが狙える。ただし、ガードキャンセルや空中ガードができないなど、防御の面で乏しい面があり、そこをどう戦うかがポイントとなる。
Zは所謂スタンダードと呼ばれるゲージで、スーパーコンボゲージを最大3つまで貯めることができ、状況に応じて使い分けることができる。空中ガードやガードキャンセルといった一通りの防御システムも使用可能で、初心者はまずここから始めるのが無難である。
Vは空中ガードやガードキャンセルといった防御システムは揃っているが、スーパーコンボが使えない。つまり、大技は射てないということである。その代わり、ゲージが50%以上ある時、あらゆる技をキャンセルすることができる『どこでもキャンセル』を発動させることが可能だ。自分だけの連続技を作れる上に、相手をガードさせてもどこでもキャンセルで時間の許す限り固めることが可能で、使いこなせば最強のゲージとなる。ゼロ3をやり込んでいる上級者が挙(こぞ)って使用するゲージだ。

(まぁ、だろうと思ったよ)

僕はスティックを握り、所定の位置に指を置いた。

446の使用するリュウというキャラクターは、主人公で最も使いやすい。難しい技術もそこまで必要なく、分かりやすい技が揃っている。加えてZイズムだ。

(どのみち、一人でCPU戦やってたクチだろう。潰してやるよ)

ラウンドワン、ファイトッッ!!」

瞬間、446はいきなり波動拳という飛び道具を撃ってきた。まずは、対空に反応できるか見たかったので、わざとジャンプしてみる。

僕の選択したXイズムは空中ガードができない。ということは、飛び道具を抜けたときに飛び込んだ時に空中に強い技を撃つことができれば、相手の空中からの攻撃を迎撃できる訳だ。逆に言えば、相手が空中にいるときその処理ができなければ、相手にやりたい放題されてしまう。

僕のナッシュが446の撃った飛び道具を抜けたとき、本来対空技を撃ってくるのが筋だ。しかし、446はそれに無反応で、空中に落ちてきたナッシュに投げてきた。

(あぁ。コイツ、やっぱ素人だな)

一気に畳んでやる。僕の中でそんな気持ちが芽生えた。

僕のナッシュの飛び道具に対し、地上戦を嫌った446はジャンプし、無理に近付いてくる。そこを僕は迎撃していき、446ができる行動を制限していく。

格ゲーだけでなくゲーム全体に言えることだが、試合をしていく上で相手の引き出しを狭めることは心を折ることに繋がるので、とても重要なことだ。同時に、相手に自分の実力を分からせることもできる。

僕が446の行動を狭めることで、446は行動制限され、やがて動かなくなる。引き出しが無くなった証拠だ。

(こっから詰め将棋だぜ)

相手の行動がなくなったら、次にこういう素人がやることは、ガードを固くし、とにかく待つことだ。

しかし、ここでも心を折る方法は幾つもある。

小技で連係を取れば、446のような素人はガードキャンセルをしても切り返すことはできない。そこで固めることで相手のガードゲージを減少させることにより、ガードクラッシュという特殊な状態を発生させる。ガードクラッシュが起こると、そのキャラクターは仰け反り状態となり、技を追加で入力できるので、ダメージが確定となる。

恐らくは、446はそれを嫌がり何かしらのアクションを取る筈だ。しかし、そのアクションを取ること自体が僕にとっては美味しい状況で、見て対応出来るはずなので、そこを突き一気に相手の体力を奪おうと考えた。

案の定、446は何もできずにガードを崩され、僕は簡単にラウンドを取ることができた。

2戦目。別に446のプレイに付き合う必要もないので、1戦目と同じように叩き潰そうとしたが、今度はいきなりスーパーコンボの真空波動拳を撃ってきた。

油断してしまった為、全弾ヒットしてしまい、ダメージを取られてしまう。だが、まだまだこちらの方が余裕がある。焦らずじっくりいけば、勝利が揺らぐことはない。

446は例のごとくジャンプしてきたので、対空技で迎撃しようとしたが、今度は垂直ジャンプをしてきた。先程と違う反応に、それはたまたまなのか、それとも狙ってやったのか、断定できなかった。

判断が鈍ると動きが鈍る。格下なら分からん殺しと呼ばれる相手が反応できない立ち回りで制圧することもできる筈だが、どうも先程と446の反応が違う。

そんなことを考えながら、適当に技を振っていたら、それに合わせて446が大技を出してきた。

(この位置から、入るのか…!)

驚愕する僕に、446は腹が立つほど技を合わせて出してくる。

様子見を見ていたつもりが、僕は446に様子を見られてたのだ。

10戦して、結果は10連敗。

なんでこんな適当にゲームをやっているヤツがー…。

そんな僕の気持ちをまるで読むように、446は言った。

「ま、きっちりやるのも大事だけどさ、自分がやりたいことをやるっていうのも、それが戦闘スタイルに繋がることもあると俺は思うんよね。それにさ、ガチなのも良いけど、これはeスポーツじゃなくて遊びなんだから、楽しくやった方がおもろくない?」

それを聞いたとき、今まで自分のやってきたことを否定された気がしたが、同時に自分が何故446に勝てなかったのか分かった気がした。

「次はぶっ潰します。また誘ってください」

446との出会いが、自分がそれまでやっていたゲームに対する固定概念を変えてくれ、本当の趣味になったのは言うまでもない。

ーENDー

はい。ということで、ザ・ファーストゲーム、ハクビシンくん編でした。

ゲームをやり始めたキッカケと言いますか、まぁハクビシンくんの場合、自分が本格的にゲームをやろうと思ったキッカケが僕だったっていうのを、今回演出踏まえて書いてみました。

本当はここで後書き、余談みたいなのも書こうと思ったのですが、結構長くなったので、明日に持ち越します。

それでは、またお会いしましょう!

閲覧ありがとうございました!