恐怖の平和島・前編のつづきです。
筐体の前で成す術もなく、僕は口をあんぐりするしかなかった。
画面には、僕が選択したキャラ、シャナが地に伏せ、平和島が勝利ポーズを取っている。平和島の体力ゲージは、全く減っていなかった。
「うむ…。やっぱりこうなったか…」
おじさんは、ベガ立ちしながら、結果が判っていたかのような言い草をし、流石にそれには僕も反論した。
「判っていたなら、なんで乱入しろみたいなこと言ったんですかぁあぁッッ!!」
半泣きする僕に、おじさんは表情を崩さずに言葉を返した。
「いや、無理だと分かってても、もしかしたら446が流れ変えてくれるかもなぁ~と思って。だって、お前ってそういうヤツじゃん」
どういうヤツだよ!
パーフェクトで負けると判っていながら、もしかしたら流れ変えれるかもって、もう意味が分かんねぇッッ!!
しかし、僕の乱入でみんなの何かが吹っ切れたのか、再び何人かの人達が乱入し始めた。
だが、平和島の脅威は変わらず、何をどう工夫しようがきちんと対策を取ってくる。ついに、おじさん軍団は引き出しを出し切ってしまう…。
「みんな、ネタはまだあるか?」
「…もう、何も思い付きませんッッ!!」
「よし、帰ろう」
おじさんの一声で、その場は解散となった。
しかし、ゲーセンを出てすぐの居酒屋で、みんな鉢合わせする事となる。
そう。やはり、みんな悔しかったのだ。
初めて姿を現した平和島に、完膚なきまでにフルボッコにされて、挙げ句追い出されたみたいにゲーセンを後にして、簡単に家路に着ける訳もない。
ゲーセンメンバーが居酒屋に集まれば、そこに平和島の話が産まれるのは必然だった。
「俺のバスケ女がことごとく対処されるなんて…」
「俺のシャナなんか、一回も当たりませんでしたよ」
「その前にさぁ~…」
おじさんと僕が、カウンターで平和島の愚痴を言っていると、その子は突然割って入って来た。その子は、桐乃を操る電撃プレイヤーだ。
「電撃って、あんなに奥深い格ゲーだったっけ!?」
つづく!
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