第三話の続きです。
桐乃の言葉に、その場に居た全員が口を噤んだ。
その時、誰もが悟ったのだ。
電撃という格ゲーを、舐めていた結果、こんな悲惨な事になったのだと。
本来、極めようとするものに、簡単なものなどない。どのゲームにも、極める要素があり、それを考えると簡単なゲームなんて有りはしないのだ。
「俺達は、システムがやりやすいだけで、簡単なゲームだと勘違いしたんだな」
「目の前の平和島の努力に目を背け、実力足らずの自分等を棚に上げ、…そりゃあフルボッコにされますよね」
「いやっ…。あのぉ、おっさん達?俺ってば、そんな意味で言ったんじゃないんだけどー…」
桐乃は慌てて弁解したが、おっさん達の耳には入っていなかった。
「よし!出直そう!!」
「はいッッ!!」
「いや、どこに!?」
おっさんは、居酒屋の主人にタクシーを呼ぶように指示し、僕と桐乃を入れた三人は、タクシーでビーバーの働く対戦の盛んなゲーセンへ行くこととなった。
「いやいや。あのゲーセンに行って、やられてる意味も分からず、また上級者と対戦しても、全くスキルアップには繋がりませんって!俺達は俺達で、楽しく格ゲーやりゃあ良いじゃないですか」
「桐乃ッッ…!てめぇ、馬鹿野郎ぉおッッ!!それでも、男か?お前はッッ!!」
おじさんと桐乃が車内で小競り合いをしている間に、タクシーはビーバーの働くゲーセンに到着。一同は、50円を握り締め、ゲーセンへと入った。
「なっ…!?」
入店して三人がまず驚いたのは、先程同じゲーセンに居た筈の平和島が、ここでも対戦をしていたことだった。
「珍しいな。お前等が揃ってウチのゲーセンに顔を出すなんて。アイツに島を荒らされたか?」
そう声を掛けて来たのはビーバーだった。
造船で仕事しながら、夜はゲーセンでバイトするという、僕なんか比べ物にならないゲーセン好きだ。
「知ってるのか、ビーバー。平和島を!?」
声を荒げるおじさんに、ビーバーは今にも笑いそうな顔で、おじさんに言葉を返す。
「だって、平和島はウチの常連ですもの。平和島が来るときは、必ず珍しいお客さんも来てくれるんですよ。今のあなた達と同じ理由でね」
平和島にしてやられたぁーッッ!!
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