ビーバーの勤めるゲーセンで、メルブラをやっていたら、やたらちらちら見てくる人が居た。
年は僕と同じぐらい。30ぐらいだろうか。
わざわざ、僕の視界に入る場所で、僕のプレイをベガ立ちしながらずっと見ている。
(待てよ!この人、CPU戦してたら、隣に座って張りはって来る人じゃね?)
四角い輪郭に、メガネを掛けた、如何にもインテリそうな彼は、僕の仲間内では『ちらちらくん』と呼ばれていた。
ちらちらくんには、一連の行動があり、まず人のプレイを腕を組んで立ち見、そしてそれが済むと隣に座り、頬杖を付いてまたジッと見る。
その奇怪な行動に、一旦席を離れて、居なくなった頃を見計らって、再度筐体に座ると、狙って居たかの如く、隣の席に座り、一緒にCPU戦をやり始めるというー…。
ビーバーの勤めるゲーセンでは、一種の伝説として語り継がれている人物だった。
(うわぁ…。めっちゃ見てるなぁ…)
ちらちらくんは、ベガ立ちを止め、第二段階、プレイヤーの隣に座り、ジッと見るを実行していた。
見られる側の僕としても、あまり良い気持ちはしないが、その前にこの人は一体何が目的で、こういう奇行に及ぶのか、その理由も皆目付かず、僕の中で疑問が生じていた。
ちらちらくんも、メインキャラはシャナ。
CPU戦で競い合うぐらいなら、僕的には対戦をしたいと思い、パフォーマンスとして無駄コンをやってみる。
ちらちらくんは、丁度50円を投入しようとしているところで、ピタリとその行動を止めた。
(おっ!興味を持ってくれたか!!)
僕は、ちらちらくんの行動に嬉しくなり、自分の持っている最高の無駄コンを披露した。
(さぁ!これでどうだ!?)
心の中で、ちらちらくんに問い掛けると、遂にちらちらくんが立ち上がった。
(来るかッッ!?)
構える僕だったが、ちらちらくんは僕の背後に立ち、また腕を組んで立ち見をし始めた。
(第一段階に戻ったよ!)
結局、乱入はしてくれない、ちらちらくんなのでした。
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