446の素人格ゲーブログ

ゲーセンでゲームをするのが大好きなオッサンの日常ゲームブログ!毎週金・土・日更新!!

【第十四話】恐怖の笑い声

最近、446は朝からゲーセンに行くことが多くなった。

仕事の関係上、夜は行けなくなったので、朝からゲーセンに入り浸ることが多くなったのだ。

朝は良い。特に、練習したいタイトルがある時は、乱入される心配もなく、CPU戦に集中することができる。

その日も、446はCPU戦でコンボと牽制の練習を淡々とやっていた。

電撃CXイグニッションは、最近ユウキを使い始め、馴れないながら、色々と試している最中だった。

ユウキで全クリし、アコでも練習を始める。最近は、この二人を練習することが多かった。

すると、446の隣でガンダムを誰かがやり始めた。横目に確認すると、体格の良い、眼鏡を掛けた、446と同じ年か、少し下かぐらいの、男性だった。

別段、気にすることもなく、446はプレイを続けていた。アコのコンボが上手く行かず、溜め息を着いていると、隣の方から声が聞こえてきた。

「相変わらず、おめぇうめぇなぁ!」

その声の主は、眼鏡の連れらしき人物だった。Tシャツに短パンという、ラフな格好でありながら、髪の毛は真っ金々という、如何にもヤンキーっぽい青年で、体格の良い眼鏡とはだいぶん年が離れているように見えた。

「今のは、○○をもっとこうすると良かったと思うよ」

眼鏡がヤンキーにアドバイスをし、またゲームがスタートした。

446は、ガンダムのことについて全く分からなかったが、今の解説から察するに、ゲームのレベルはヤンキーより眼鏡の方が格上だと推測した。

二人の話を聞いていると、ガンダムの世界に感化されそうなので、電撃のアコの練習に戻ることにした446。上手くいかないときこそ、集中しなければならない。それは、ゲーマーにとって常識だ。

そして、ようやくアコでコンボが成功しそうになったその時だった。

ゲハハハハハ!

え?なに!?

思わず、446は眼鏡の方に視線を向けた。無論、コンボは失敗に終わる。

すると、眼鏡がヤンキーにまた解説をしていた。しかし、その解説はガンダムではなかった。

「アコは、各必殺技を溜めることにより、性能をアップさせることができるんだ」

え!?お兄さん、電撃やるの?

ガンダムをやる人が、あまり電撃をやるというのを見たことなかったので、446は素直に嬉しかった。しかも、ヤンキーに解説をしているところを見ると、かなり詳しそうだ。

(でも、まずい。今の状態で乱入されたら、絶対に負ける!)

アコの対戦経験が殆んどない446にとって、この状況はかなり危険だった。446がコンボを失敗する度に、「あぁ分かってないね」と眼鏡は嘲笑し、ヤンキーもそれにつられてクスクス笑う。

だが、笑われても仕方ないと446は思った。失敗しているのは事実だし、なぜ失敗しているのかも分かっていない。

というか、だからこそ練習しているのだ!

背後からの眼鏡とヤンキーの視線が気になりながらも、何とか全クリした446は、二人が電撃をやるのかもしれないと思い、席を外し、とりあいず自動販売機でコーヒーを買って、休憩した。

5分ぐらいして戻ると、オールネットの筐体にもガンダムの筐体にも誰も座っておらず、ならばと446はもう一度電撃でアコの練習を始めた。

「ゲハハハハハ!

すると、先程と同じ笑い声が聞こえ、振り返ると、446の予想通り眼鏡とヤンキーが背後に立っていた。

「ちょっと引っ掻けてやるか!」

眼鏡はそう言って、財布からカードを取り出す。

コイツ等、素人狩りだったのか!

カードを持ったまま、意気揚々と2P側の筐体に回りながら、「ゲハハハハハ!」と笑う眼鏡。その声は、最早446にとって恐怖でしかなかった。

(しょうがない。アコで2回やって、メインのシャナで2回乱入しよう。とにかく、やれることをやって、華々しく散ろう。それしか今の俺にはできない)

案の定、乱入してきた眼鏡は、僕がアコの前に練習していたユウキを選択。対戦前から、心が折れそうになる446に、眼鏡は楽しそうに、また「ゲハハハハハ!」と笑った。

対戦が始まる。そこは、3ラウンド先制なので、最初は様子見に徹することにした。

眼鏡のユウキは、対空で2AB、打撃にAB、中段に4ABで対処してきた。

………。

あれインパクトスキルばっかじゃね?

きっと、この人はこんな感じで、いつも朝から格闘ゲームを楽しんでいる人達を狩ってきたのだろう。

インパクトスキルやインパクトブレイクにばかり頼っている人というのは、ともかく通常技の牽制に脆い。それは、技術的には相手方が上でも、通常技の牽制が発展途上の人との対戦の場合、インパクトスキルと連打コンボ、そしてサポートで択掛けするだけで、努力をすることなく倒せてしまうから、通常技の牽制などしなくてもインパクトスキルで対処できると勘違いしてしまっているからだ。

しかし、その発展途上の人が、ある程度の牽制の技術を身に付けると立場は逆転する。火力のあるコンボは持っていたとしても、コンボに繋がる初手が当たらなければ対人戦では全く意味がない。サポートやインパクトスキルは、出す前に何かしらで潰すか避けるかすれば良い話で、あとは通常技の牽制からコンボへ持っていき、ダウンで締めるという基本で倒すことができるのだ。

試合は何度か続いた。きっと、眼鏡は納得がいかなかったのだろう。

だが、幾らやろうと、流石にインパクトスキルを多用するだけの人に、446も負けはしなかった。それくらいのレベルとの対戦経験は積んでいる。

眼鏡のキャラクターは、乱入する度に変わっていき、最終的にはアスナに落ち着いた。多分、これが彼の本キャラなのだろう。だが、相変わらずインパクトスキルを使いまくる感じだった。

対戦終了後、眼鏡とヤンキーは、また446の背後へとやって来た。しかし、先程とは明らかに違い、彼等の表情から笑顔は消えていた。

「いや、なに。コイツ、オタクみたいな?」

「ずっとゲーセンに入り浸ってます的な?」

446は、それでも黙ってアコの練習を続けていると、それ以上はなにも言わず、彼等は静かに去って行った。

翌日。昨日のようなことがあると嫌なので、446は場所を移して電撃のアコの練習をすることにした。

筐体には誰もいない。隣にガンダムもない。

「よし!」

446は、用意していたコインを投入し、さっそく電撃の練習を始める。

ゲハハハハハ

そこに、聞き覚えのある声。まさかと思い、声のした方を振り向くと、隣のネシカ筐体でゲームに興じる二つの影が!

「俺、だいたい得意格ゲーって、エヌアインなんだよな!」

俺も、相当ゲーセンに入り浸ってるけど、あんた等も相当ゲーセンに入り浸ってるな!

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