その日も、446はいつものようにCPU戦で連続技の練習をしていた。
格ゲーのタイトルは、アンダーナイトインヴァースエクセレイトエスト。以前観戦した、上級者の操作するアカツキというキャラクターに憧れて以来、ずっと練習していた。
まだまだ、全ての連続技を完走するまでには至っていないが、素人なりに連続技の形も整ってきて、あとは失敗する箇所を失敗しないよう、ひたすら練習するということをやっていた。
長い連続技を練習していると、必ずと言って良いほど、苦手なコマンド入力がある場所で失敗してしまう。それが、素人というものだ。だが、その日は失敗する場所がまばらだった。
(ん…？)
コマンドを入力しながら、446は眉を潜めた。
連続技を失敗するときというのは、大体自分でもその原因が分かるときが多い。最初、自分がコマンドを入力するタイミングが遅いと考えた446は、コマンドを早めに入力することを心掛けた。すると、その間違えた箇所は成功するのだが、違う連続技をしたときに、変な場所でまた失敗する。
原因が分からず、困惑する446。
(もしかして、通常技の出し方が悪くて、相手にコンボを止められてるのか？)
原因として、なにが悪いか考えたとき、446は自分の牽制の出し方に問題があり、連続技が失敗したのだと思った。なので、先程より、もっと丁寧に連続技の練習に励んだのだが、やはり変なところで失敗する。
結局、ちゃんとした原因も分からずに、CPU戦は終わってしまった。
納得できなかった446は、再度コインを投入した。次にやったタイトルは、電撃文庫ファイティングクライマックスイグニッション。何故、このタイトルを選んだかというと、このタイトルの方が、色んなボタンを使用することが多いので、原因が解りやすいと思ったからだ。
シャナを選択し、早速プレイする。すると、Aボタンが何故か途中できかないでときがある。
(俺が押すのが遅いのか？)
そう思いながら、もう一度試してみる。タイミングが遅いのなら、次は必ず成功するはず。すると、今度はAボタンを使用するところはコンボを完走したが、Bボタンがならないッッ!！
まさかと思い、１度キャラクターを遠ざけて、ボタンをA
BCの順に押していくと、それぞれのボタンが、たまにきかなくなるという、かなり面倒臭い事態になっていた。
対戦格闘ゲームにおいて、ボタンが全くきかないことよりも、寧ろ厄介なのは、たまにきかない方である。何故なら、時々使えるとなると、そのボタンについつい頼ってしまうからである。しかも、今回は全てのボタンが時々ならないという緊急事態。実質、頼りたいときにそのボタンが使えないというのは、全てのボタンが使えないのと一緒である。
背後で僕のプレイを見ていた店員に、すかさず言った。
｢すみません。これ、A、B、Cのボタンがたまにきかなくなるみたいなんですけど ｣
すると、店員から驚きの返答が返ってきた。
｢はい。存じ上げておりました｣
ちょっと待て！
知ってたなら、ちゃんとメンテしとけよッッ!！
閲覧ありがとう御座いました！
