446の素人格ゲーブログ

ゲーセンでゲームをするのが大好きなオッサンの日常ゲームブログ!毎週金・土・日更新!!

【第十三話】店員再び

エヌアイン完全世界。

単純且つ分かりやすい戦略に、やればやるほど新しい発見があるこの格闘ゲームの魅力にとり憑かれた人も多い。

格闘ゲームをこよなく愛するゲーマー、446もそのうちの一人で、というより、技術のない446にとって、この格闘ゲームは自分を表現できる唯一のゲームとして、毎回CPU戦を楽しんでいた。

仕事の都合で、最近は朝からゲームセンターに行くことが多い446は、今回も朝から二時間ほどエヌアイン完全世界をしようと胸躍らせながら、自動車を走らせていた。

朝のゲームセンターは良い。夕方や夜みたいに、人がいないので、集中してスコアアタックに臨むことができる。

さっそく、ネシカ筐体にコインを投入し、買ってきた缶コーヒーのブラックで喉を潤し、いざCPU戦へと臨む。

序盤はかなり調子が良かった。しかし、アドラー戦でシールドをミスリ、更に超必殺技でのフィニッシュを取り逃がすと、徐々に調子が悪くなっていく。

(ヤバイ。このままじゃ、250万いかない)

そんなことを考えている446の背後から、聞き覚えのある声がしてきた。

「この前のアカツキ使いじゃねぇか」

「最近、姿を見せないと思っていたら、朝から来てたんですね」

この声は、この前の勘違いな解説をする先輩と、その後輩ッッ!!

この二人、446は凄く苦手だった。

毎回、背後から解説を入れてくるばかりか、またに合ってるか合ってないか分からない、微妙な豆知識を織り混ぜてくるのだ。それが、自分がやってみたいコンボとかだったりすると、都合の良い解釈をしてしまい、ネットなんかではならないと証明されているのに、その店員たちの言葉を信じ、時間を費やしてしまうのである。

だが、先輩の豆知識を試して、成功したことなど一回もない。

正直、今回も446は怖かった。先輩が446にとって都合の良い豆知識を後輩に話し、それを試したくなったら、無駄だと分かっていても、また時間を費やしてしまう。

アカツキを動かしながら、446は思った。

(頼む!もう、変な知識は振りかざさないでくれ)

446の願いが叶ったのか、今回はアカツキのコンボの解説だけで、どうやら豆知識はなさそうだった。

先輩は、得意気に解説し、最後に言葉を付け加えた。

「しかし、このアカツキ使いは相変わらず強いな」

「これだけ見て、分かるんスか!先輩!」

「分かるさ。動きが違う。コンボも竜巻からEX竜巻入れてるしな」

俺をフルボッコしたヤツが、そういうこと言う!?

先輩の虚言壁に、毎回446は驚愕した。

あまりの虚言ぶりに、この人の格闘ゲームの対戦はどんなものだろうと、以前対戦したことがある。もちろん、446から乱入した。

すると、先輩はとんでもなく強いということが発覚した。

何が強いかと言うと、相手を読む能力がずば抜けているのだ。二択・三択の場面で、平気で一点読みをしてくる姿勢は、知識というよりは圧倒的な経験値が強さとなっていると言ったら良いか。先輩が後輩に慕われている理由も分からなくもない。

格闘ゲームの世界において、強者の言うことは絶対だ。それは、有名プレイヤーがキャラランクについて語ると、誰もが疑わず、それを信じる心情と似ているのかもしれない。

だが、この先輩に限って言えば、強者の言うことが絶対に合っているという考えは、捨てた方が良いと考えさせられる。

そもそも、446はアカツキで竜巻からEX竜巻に繋げるだけで、なぜ強いと解釈するのか、その根拠が気になった。

コンボの火力も上がらない。
スコアも伸びない。
そんなに難しい技術でもない。

強いと言ってくれることは嬉しいが、フルボッコにされた人にそれを言われても、イヤミにしか聞こえない!

だが、次の瞬間、先輩の考える強さの理由を知ってしまった446は、先輩の解説に納得してしまう。

「そう言えば、○○のクラークも強いって先輩、褒めてましたね」

「あぁ。なんたって、アルゼンチンのあと追撃してくるからな!」

先輩にとって、追撃ができる人は誰でも強いんだ(泣)

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