446の素人格ゲーブログ

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【第三十一話】ザ・ファーストゲーム(ヒゲリン編)

はい。ということで、とりあいずここで1回切ります。

大体、最近一緒にゲームやってる仲間がハクビシンサラブレッド・ヒゲリンなので、まずはここから。残りは、また系統が違うので、格ゲー物語の訪問状況を見て、訪問数が良さそうなら、また頑張って書きたいと思います。

では、ここからスタート!

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集団生活において、数は正義である。

一人が正しいことを言ったとしても、誰かが間違った意見に便乗し、周囲もそれを認めたら、それが正しいことになってしまう。

ヒゲリン、趣味・ゲーム。

その時代、巷にはアーケードゲームが出回り、家庭用でも次々と名作と呼ばれる作品が発売され、にわかゲームは世界に注目され始めていた。

しかし、ヒゲリンの通う中学校では、ゲームはするものの、にわかと呼ばれる人間が多く、ヒゲリンみたいにやり込んでいる人間は『オタク』と揶揄された。

ヒゲリンはそう思われることが堪らなく悔しかった。

(ゲームをやり込んでいたらオタク?同じように何百時間とやりこんでいても、周りがオタクと思わなければそれは一般人として通る。なんで、俺だけいつもオタク呼ばわりされなきゃいけないんだ!)

そんな集団心理の理不尽さを感じていたある日、そいつは突然ヒゲリンの前に現れた。

ヒゲリンはその日、久しぶりに学校の近くのゲームセンターに足を運んでいた。そこは、ボーリングと隣接しており、ゲームをやり込んでいる人間が来るというよりは、どちらかというと、カップルやファミリー層が多かった。

「お前、ゲームイケるらしいなぁ?」

「(誰だ?)はぁ…」

突然ヒゲリンに声を掛けてきたソイツは、まっ金に染め上げた髪に、無理矢理ワックスで立たせたであろうそ反り立った髪は、まるでドラゴンボールスーパーサイヤ人を彷彿とさせた。

ヒゲリンに顔を寄せると、笑顔を見せることもなく、ただただ無表情にヒゲリンに言葉を発した。

「お前、どんなのが得意なんよ?」

「どんなのと申しますと?」

ヒゲリンは、基本見知らぬ相手には敬語で話す。例え目の前の人間が自分より年下でもだ。ソイツは、ヒゲリンの敬語にイラっとしたのか、目を見開き、口を曲げ、明らかに威嚇の表情を見せる。だが、ヒゲリンは冷静だった。

「質問に答えて貰わないと、話が先に進みません」

それを聞いたソイツは、威嚇の表情を和らげ、代わりにニヤリと笑う。

「敬語使ってくっから、自分なんでも分かってますバリの上から目線で物言ってくるようなクソ野郎かと思ったが、おめぇは違うみたいだな」

そう言って、ヒゲリンの肩に手をやり、馴れ馴れしそうに話を続けた。

「おめぇも学校でゲーム好きなだけなのに、オタクと揶揄されてるクチだろう。で、そう言われることに納得がいかない」

「…だとしたら、なんですか?」

話が見えてこない。ヒゲリンが眉間に皺を寄せると、ソイツは「くっくっくっ…」と不適な笑いでヒゲリンを困惑させた。

「いやぁ、実は俺もなんだよ」

(嘘つけ。お前はどっちかというと、馬鹿にする側の人間だろうが)

その言葉にヒゲリンは今までの経験から、ソイツは嘘をついていると思った。

ヒゲリンのクラスでは、インドア派の人間をアウトドア派の人間がイジることが多々あった。その時に持ち出されるネタが『ゲーム』や『漫画』といった二次元ネタだ。

二次元を趣味としていると、それだけで「オタク」だの「キモい」だの言われ、蔑まれる。そして、そういうことを言う人間は、大抵目の前にいるようなヤンキーだった。

とうとう知らない人間にもちょっかい出すようになったのか。だとしたら、せめてストレス発散にゲームでボコるとしよう。

そう思ったヒゲリンは、ソイツに声を掛ける。

「あなたが本当に僕と同じ属性なら、まずは証拠を見せてもらいたい。僕にゲームで対戦して、勝てたら話の続きを聞きましょう」

「おもれぇじゃねぇか。じゃあどうだ?ギルティの青リロなんて」

「…いいでしょう」

ギルティの青リロとは、ギルティギアイグゼクスシャープリロードのことを言った。このゲームは、ギルティギアイグゼクスのマイナーチェンジで、最初はシャープの色が赤色だった。その後、調整が加えられ、青色になったことから、前期と差別化を図るため、ゲーム好きの間では青リロと呼ばれるようになったのだ。

(評価の高いゲームで打ち負かし、俺に取り入るつもりか)

二人は、対面の筐体に座った。

キャラクターを選択し、対戦が始まる。

ヒゲリンは、様子見の為に適当に技を振った。ソイツはそれに即座に反応し、きっちり連続技を叩き込んできた。

「なにっ…!?」

ヒゲリンの驚きをよそに、ソイツは連続技を叩き込んだ後、ヒゲリンのキャラをダウンさせ、起き上がりと同時に技を合わせてくる。

(起き攻めの精度も高い。攻めようと思っても、きれいに固めてくるから、俺のレベルじゃ無理に反撃しようとすると事故になる)

ヒゲリンは、このゲームに自信があった。それだけに、こんなゲームを中途半端にしかやってそうなソイツに負ける未来など考えたくなかった。

だが、気が付けば全敗だ。気持ちいいほどに何も出来ず、完敗だった。

「俺のこと、中途半端にやってる素人狩りだと思ったろ?てめぇの一番の敗因はそこだ」

ソイツは、ゲームだけではなく全てにおいて勝ち誇ったようにそう言った。

「意味が分かりません。僕はナメプなどしていない。本気で貴方に負けたんだ!」

ヒゲリンは、声を張り上げた。

ソイツに言われたことは、まるで自分のことを揶揄してきたクラスの人間とやっていることが同じと言われているように聞こえたからだ。

だが、ソイツは首を振る。

「じゃあ、なんで最初丸見えのリーチの長い技を振った?」

ヒゲリンは言葉が出なかった。

様子見にしても、見て対処できる技をゲームが慣れている相手に振るのはおかしい話だ。そのあとのフォローができるならまだしも、ギルティギアというゲームは初っぱなゲージは空である。つまり隙の大きい技をゲージを使ってフォローできないのだ。

「…僕が間違ってたみたいだ…」

ヒゲリンは、小さくそう呟いた。

ソイツはニヤリと笑う。

また「ククク…」と含み笑いをし、続けて言った。

「自分の恥を認める気持ちがありゃあ十分、俺と一緒にギルティでアイツ等の考える俺達への偏見を取っ払ってみねぇか」

ソイツの真剣な眼差しにヒゲリンは、自分の中でゲームに対する考え方の何かが変わった気がした。

「僕は自分が楽しめればゲームはそれで良いと思っていたけれど、多分きみは違うんだな。フルボッコにされたのに、何故だか清々しい気持ちになるきみのプレイを体験すると、何か違うものが見えてくる。きみについていけば、俺が考えるゲームとはまた違う世界を見せてくれるのか」

そのヒゲリンの問いに、ソイツは楽しそうに言った。

「答えが知りたきゃ、俺と一緒に本気でゲームやってみろよ」

数年後。そのゲーセンでヤンキーとガリ勉の不釣り合いなコンビが、ギルティギアの対戦で老若男女を魅了するプレイをして、多くのプレイヤーを惹き付ける。

ーENDー

ということで、ファーストゲーム・ヒゲリン編でした。

元ネタ話などは、あとがきでするので、今回はヒゲリンの話を少し。

ヒゲリンは、ギルティシリーズが大の得意で、続いてKOFシリーズ、ランブルシリーズ、メルブラシリーズ、この4タイトルは大会に出場しても、小さな大会クラスなら、まだまだ若い子にも負けないレベルです。

ただ、鉄拳やストリートファイターシリーズはビックリするほどダメで、「なんでそんなにできない?」レベルです。

まぁ、それでもコンボだけしかない、ハクビシンくんぐらいには全然勝てるのですが、サラブレッドみたいにきっちり起き攻めと択一ができる人間になると、ボロボロです。

ストリートファイターシリーズなんかは、嫌いな訳ではなく、サードだったらいぶき、ゼロ3だったらさくらみたいに、ちょいちょいやりはしているみたい。

ただ、ギルティとは違って、好きでやってただけだったので、きっと弱かったのでしょうね。

お話でも書いた通り、ギルティを始めとした上記4タイトルは、とにかく格下にもそのゲームを楽しんでもらおうという信念が彼にはありました。

実を言うと、僕もヒゲリンと同じぐらいのギルティ古参プレイヤーだったのですが、本格的にやったのは、ヒゲリンと出会った後です。

正直、それまではギルティ=素人狩りされるゲームでした。

僕は、炎属性のキャラが好きなので、よくソルを使用してたのですが、当時はソルのDループという基本ができなかった。

そこに、Dループできますの素人狩りが乱入してきて、ボコボコにして勝ち挑発してくるんです。

そんなヤツとかしか当たったことなかったので、ギルティは嫌いだったのですが、ヒゲリンはこっちができない技術は使わず、あくまで格下ができる技術だけを使用し、ちゃんと結果を残す。だから、こっちもされていることが分かるので、負けても納得できるんです。

ヒゲリンがソイツに出会ったように、僕はヒゲリンに出会いゲームに対する考え方が変わりました。

こういうやり方なら、或いは燻っている人たちの後押しができるかもしれない、と。

すると、結構な人が身内戦に参加してくれるようになって、演出って大事だなって思ったんです。

無論、ガチの人はそういうのが一番嫌いなので、そこは相手を見てってことになるけど。

今でも、他人を思いやりつつ結果を残すプレイは、僕ら他の仲間にもに影響を与えています。

それでは、またお会いしましょう!

閲覧ありがとうございました!